秘密の鎖

「らら……?皐月のこと?」


夕月さんは目をぱちくりさせて、どうしてここでららさんの名前が出てくるのかわからない、という顔をしている。

私もどうしてそんな顔をされるのかわけがわからない。


「ららさんは夕月さんの彼女でしょ?」


「皐月が?俺の?」


今度は驚いた顔になって、目を丸く見開いている。



ああ、わさび入りの濁っているつゆの中をそうめんが泳いでる……


「誰が言ったの、そんなこと」


「ららさん。前にここにいらっしゃって、夕月さんがバイトだったので帰られました」


「あいつ、ここに来たの?」


誤算だ、と夕月さんは額に手をやった。


「何のためにビィと遊園地デート行ったんだか……まさかここに来るとはね」


そう言って頭に手をやったまま私のほうをじっと見てきた。


「あの、夕月さん……?」


不安気に背筋を丸めると、夕月さんはくすりと笑った。


「心配ないよ。皐月は俺の彼女じゃない。第一、彼女なんていないしね」