秘密の鎖


綾香の言ういいところっていうのは、丘の上の公園だった。


緑が煌めく、真夏の公園。

日差しを避けたくて、日陰のある展望台に入って街を眺めた。


「わあ……」


どっかのイベントで飛ばされたらしいいくつもの風船が、ふわふわと飛んでいるのが見えた。


なんてタイミングのいい!


私に続いて展望台から身を乗り出した綾香も、感嘆の声をあげた。


「おお、偶然。別に俺はこれを狙ってたわけじゃないよ」


「綾香に限ってこんな気の利いた計算はしないもんね!」


「……嫌味?」


綾香は私の言葉に苦笑いしながら、展望台の手すりに手をかけた。


「あ、私たちがさっきいたとこ、あそこだね。ここから見ると小さい!なんかミニチュアの模型を並べたみたい」


「じゃあ、木原は巨人だな。ちょっと破壊してこいよ」


「…バカにしてんの?」


「バカにしてないよ。木原ならこんな街ひと踏みで破壊できるって」


「絶対バカにしてんでしょ!」


風船が街を越えて、隣町に飛んでいくのが見えた。


なんか不思議。


街中にいると、隣町に行くのも遠くて歩くなんてとんでもないって思ってたけど

ここから見ると、どうってことない距離に見える。


遠いと思ってる距離も、実はもっと近いのかもしれない……