秘密の鎖


綾香とのデートは、特にどこに行くってわけでもなくただ街中をぶらぶらするだけだった。


「あ、これなんか木原に似合うんじゃない?」


「………」


「ほら、似合う似合う」


綾香は私を鏡の前に立たせ、いろんな帽子や髪飾りをつけて楽しそうに遊んでいる。

最初は私も一緒になって楽しんでいたけど、かれこれもう一時間。


いい加減、私もぐったりしていたし、お勧め商品を持ってきたりしていた店員さんももう何も突っ込んでこない。


「ねぇ、もう気がすんだでしょ?そろそろお店出ない?」


私がかぶせられた帽子の下から控えめに言うと、綾香はまた新しい髪飾りを手にとって、んー、と首を傾げた。


「すいませーん、これくださーい」


「へ!?」


私が止めるヒマもなく、遠くで様子を伺っていた店員さんが待ってましたとばかりにやってきて、綾香は髪飾りを購入してしまった。