秘密の鎖

おいおいおい。
何言ってんのよ何を。


目がハートになっちゃってる莉沙。
これはもうダメだ。

そんな莉沙にはお構いなしに、今にもドアノブに手をかけて部屋を出ていきそうな夕月さん。


私は慌てて口を開いた。


「あのっ、ゆづ……」


はっと口元を押さえて莉沙を見た。


違う違う、今はお兄ちゃん、だった!


「柚子?」


莉沙はかくんと首を傾げて不思議そうにしている。

どうやらバレていないようだ。


「そ、そうなのお兄ちゃん!柚子胡椒買ってきて!」


苦し紛れに言った私の発言に、夕月さんは一瞬きょとんとしてからああ、と笑顔で頷いた。


「柚子胡椒ね。わかった、買ってくるよ」


そう言って手を振って出て言った夕月さんの笑顔は、莉沙を倒れさせるには十分すぎるものだった……