「あたしー、実は夕月さんのこと見たことあるんですよー」
「へぇ、どこで?」
「学校の近くの商店街ですぅ」
「ああ、バイト行ってるときかな」
ちゅ――――
私は黙ってストローに吸い付いていた。
私なんてまるでいないかのように話し続ける二人。
ふんっ。
別にいーもんね。
「カッコイイ~、塾で先生なんて素敵!」
………り~さ~
ちょっとは私のことも構ってよ。
夕月さんも満更でもなさそうに笑ってるし。
ちゅ――――ズズ……
あ、ジュースなくなっちゃった。
どうせ私なんかいてもいなくても同じだし、おかわりしてこよ……
そう思って立ち上がろうとすると、ぐっと何かが私の邪魔をした。
「え」
振り返ると、夕月さんの手が私の服の裾を掴んでいた。
「ジュース、あげるよ。俺飲んでないし」
はい、と言って夕月さんの分のジュースを差し出され、私が持っていた空のグラスは奪われた。



