新谷さんはとっても気さくで人あたりのいい人だった。



だからあたしも部屋の外で会ったときは世間話や身の上話をよくしていた。



そういえばどこで働いているのかも話したことがあったから、だからお店に電話をかけてこられたんだと思う。



働き者の新谷さんはアパートの草木の手入れから清掃まで毎日手抜かりなくおこなっていた。



たまにあたしの車も黙って洗車してくれていたことがあって、そのお礼でいっしょにお茶をしたこともあった。



近所の人の評判もよかった。



結婚したらいいパパになるんだろうなって感じで近所の子供たちとよく戯れていたのを見たことがあった。



でも裏の顔は違ったみたい。



警察が家宅捜索をしたら、子供の、とくに女の子を対象にしたいかがわしいビデオやDVDが山のようにあったらしくて、本性はそういう趣味を持った人だったらしい。



そんな新谷さんはあたしに好意を抱き、職権濫用して持っていたマスターキーでたびたびあたしの部屋に侵入していたんだそうだ。



最近では妄想もすごくなっていて、逮捕されたときには『何で彼女の部屋に入るのに逮捕されなきゃいけないんだ!』って大騒ぎしていた。



新谷さんの中ではあたしはすでに彼女になっていたらしい。