「…この時期は多いからね。隼人も気をつけてね?」





――このときユリカの応急処置を見ていたおかげで、2年後、俺は海で同じように熱中症で倒れた村瀬を助けることができた。





その後は何事もなかったかのように映画を見て、夕方またぶらりと雑貨屋なんかを巡って、それから夕飯を食って帰路に着いた。



蒸し暑い真夏、出かけていて締め切っていた室内にはとてもじゃないけどエアコンが効いてくるまでいられたものじゃなくて、俺たちはその間にシャワーを浴びることになった。



「…やだ…脱げない(笑)」



真夏の湿度でベタついた身体は衣服を容易に脱がすのだってままならない。



ユリカは俺のTシャツを脱がすのにかなりまごついていた。



ユリカは一度体を許した男には意外とサバけていて、次から裸を見せることに対して抵抗感がなくなるらしい。



だから俺たちはこうしていっしょに風呂に入ったりシャワーを浴びることがしばしばあった。



ともに裸になり温めのシャワーを浴びながら互いの躯を貪り合う。



そのまま熱く激しく愛し合って、その後のベッドの上でも互いの海で溺れるように深く愛し合った。







きっとこの先も



片時も離れたくないと思うほど俺たちは永遠に愛し合っていくんだと信じていた。







俺と出会ったことが…





俺と付き合っことが…





俺と過ごした時間が…





ユリカを光の届かない深海の底に引きずり込むことになるなんて…







このときはまだ…知らなかった――…












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