――夢でまで西崎さんに泣かされてんのか?



――夢でまで西崎さんはおまえを笑顔にしてやれないのか?



何でそうまでして、

何でそんな辛い目に遭わされて、

毎日泣かされてばっかりで。



それでも…



それでもまだ西崎さんが好きなのかよ…?



そんなに西崎さんがいいのかよ?



西崎さんじゃなきゃダメなのかよ――?






そっと涙を拭い、髪を撫でる。



また一雫、目頭から涙がこぼれて今度はそこに唇を押し当てた。



長い睫毛が不安定に揺れ、次から次に透明な涙があふれてくる。



それを俺は一滴残らず口に含んだ。





「村瀬…おまえは不器用だから。

愛するよりも愛される方が性に合ってる」





だから…









「――…俺にしとけよ」