慧吾≫≫≫悲しい嘘





――AM02:40分頃。



村瀬に貸した書斎から怒鳴り声が聞こえてきて目が覚めた。



村瀬のやつまだ起きてるのか?



寝言にしちゃ激しい口論みたいな内容だし。



電話だろうか、こんな時間に。



まさかストーカーのやつが携帯の番号まで突き止めたとか?



心配になって書斎の前まで行く。



ドアをノックしようとして思い止まった。



「絶対行って写メ撮ってやるもん!」



室内から漏れ聞こえる村瀬の声。



…写メ?



「それで…それでお店のコとか…流川店のみんなに画像送りつけて…わら…笑い者に……グスッ…」



村瀬のすすり泣く声が聞こえる。



何かの写メを店のみんなに送りつけて笑い者にする?



いったい何の話だ?



電話の相手は誰なんだ?



店の人間なのか?



「――分かった。今から行く。すぐに行くから。だからそこを動かないでね? 絶対絶対動かないでね!?」



電話の相手に何度も何度も念押ししたあと、すぐさまドアが開かれ、携帯と財布だけ手にした村瀬と鉢合わせる。





「――! 西崎さん!?」