――数十分後、村瀬がタクシーに乗ってやってきた。



「…福嶋くん!」



着の身着のまま、髪の毛もボッサボサのままで。



「大丈夫!? 意識ある!? あたしが分かる!?」



「…早くね?」



いくら着の身着のまま来たにしても、深夜で道路が空いていたにしても、村瀬のウチはここから車で30分以上はかかるはず。



なのに…



「今日ね、訳あって西崎さんのウチに泊めてもらったの」



「は?」



村瀬が西崎さんのウチに泊まった?



「どういうことだよ?」



「そんなの後からいくらでも説明するから。それよりも早く病院行こう? 立てる? もう何でこんなことになったのよ」



村瀬に支えられてタクシーに乗り、救急病院に向かった。