さっき風呂上がりの村瀬をソファーに座らせたとき、…気がついた。



普段はふんわりしたボブヘアでその場所は見えないようになっているけど、
風呂上がりで髪をアップにした村瀬のうなじには、透き通るような白い肌に強烈な印象を残す――…紅く刻まれた“印”があった。



村瀬の肌に、ここまで自己顕示欲を主張する“印”を、しかも本人も誰も気づかない場所に刻んだのは…





間違いなく――――…福嶋の仕業だろう。





昨晩、2人の間に何があったのかなんて分からない。



それに刻印はここだけじゃないのかもしれない。



体中に無数に刻まれているのかも知れない。





ほんの昨晩の出来事だったのに。



俺が、酔った菜月につけられた首筋の刻印を、単なる虫刺されだと勘違いしてたのは…



それなのに…



村瀬は一晩で変わってしまったのか…?



あの純粋な村瀬はもうどこにもいなくなってしまったのか…?





それに福嶋は…



福嶋はいったい何を考えているんだ?



俺に村瀬を1人の女として見てやれっていうわりには、守ってやれっていうわりには、こんな…





“挑戦状”を叩きつけてくるようなことをして…





俺には…





あいつの意図が、さっぱり分からない――…












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