慧吾≫≫≫眠れない夜





――ポーン♪



『当機は、間もなく着陸態勢に入ります。
席をお立ちになっているお客様は、席にお戻りになり、シートベルトの着用を――』





那覇空港上空。



飛行機の高度が徐々に下がっていく。



窓の向こうにはエメラルドグリーンの海と美しい島々が見えてきた。



はぁ〜やっと着いたか…



やっぱ2時間半も座りっぱなしだとさすがに疲れるな。



おまけにこんなんじゃ体勢も崩せないしトイレにも立てない…



「お客様、シートベルトの着用をお願いいたします」



ちらっと隣の席の様子を窺うと、見回っていた客室乗務員に通路から注意された。



「あ…すみません」



慌ててシートベルトを着用する。



「隣りのお客様は…」



「あ…僕がやっておきますので」



「お願いいたします」



客室乗務員は優雅に微笑み、後ろの座席へと通路を移動した。



客室乗務員が去ってからもう一度隣を見る。



俺の肩には村瀬がもたれかかって眠っていた。



何でも昨夜は店のそばを流れる川の氾濫が心配で店に泊まり込んでいたらしく、一睡もしてないらしい。



「…ったく」



離陸してから着陸までの約2時間半、ほとんど寝てたなコイツ(呆)



ヒトの肩、2時間半もこき使いやがって(笑)