――ボタボタボタッ…



「もーー前が全然見えないしー」



ワイパーをフル稼動しててもまるで意味がない。



「何なのよ、この雨っ」



途中で何度も事故りそうになりながらやっとの思いでお店の駐車場にたどり着いた。



日付が変わって7月7日――AM0:12



七夕なのに天の川どころじゃないし;



この雨の影響で観覧車の運行はストップしているみたいだけど、複合商業施設内の店舗はこの時間になってもまだ営業しているところがあって、所々で看板の明かりが煌々と点いていた。



三沢さんから話を聞いて心配になってお店の様子を見に来たけど、ここまでするってことは自分のお店に愛着があるって証拠だから、あたしもだいぶと店長としての自覚が出てきたのかなぁ…





「…えっ…あれ?」





従業員用の駐車場まで乗りつけると、そこに見慣れた車が停まっていた。



福嶋くんの車だった。



福嶋くんは確か今日は遅番。



何でまだお店に残ってるの――?





バタンっ…



車を降りてすぐさま傘をさしたけど意味はなかった。



まるでイジメに遭ったように頭上からバケツの水をぶっかけられたみたいになる。



「…最悪」



ゲンナリしながら水捌けの悪い駐車場を全力で走って裏口に向かった。



誰もいなければ表から入ってセキュリティロックを外さなきゃいけないけれど、誰かいるのならそんなことする必要ないし、この雨だ、裏口に回ったほうが断然早いしこれ以上濡れずに済む。



…ってそんなのもうとっくに意味がないけど;



靴の中までぐっちょぐちょだし;