隼人≫≫≫対極の2人





「――おわっ! …ビックリした。…何でこんなとこいんだよ」



22時過ぎ、自宅に戻ってくると部屋の前に村瀬が座り込んでいた。



確か今夜は西崎さんと飯食いに行ったんじゃなかったっけ?



朝から気合いの入ったメイクと髪型に、服装はいったん帰って着替えるからと、メイクと髪型に不釣り合いな普段着を着て来てて、さんざん『首から上と下が合ってない』って罵ってやったんだよな。



「…村瀬?」



まさか寝てんのか?



体育座りをして膝に顔を埋めたまま無反応の村瀬。



ちっ…しゃーねーな。



「…ぱんつ見えてんぞ」



「!」



奥の手を使うと、ばっと顔を上げ俺の腕を思いきり殴りつける。





「「変態!」」





「「……」」



一瞬の沈黙の後で泣き笑い顔になる。



「もー…真似しないでよ」



「もー…真似しないでよ」



「…ばかっ」



「…ばかっ」



泣き腫らした瞳で俺を食い入るように見つめながらも、口もとは笑いを堪えているかのように笑みを浮かべている村瀬。



その愛らしさに思わず額を合わせて至近距離で睨めっこしてしまった。



…なんかコレってバカップルすぎないか俺たち;



まぁ何だっていい、いい雰囲気だからこのまま村瀬にキスしちまえ。



優しく髪を梳きながらゆっくりと顔を近づけると、村瀬は俺を受け入れるかのようにそっと目を閉じた。



そして…



2人の唇があとわずか1センチというところまで近づいた瞬間――…





ガチャッ…





俺の部屋の2軒隣の部屋のドアが乱暴に開かれた。