綾乃≫≫≫感染の温度





〜♪〜♪



「…電話」



うっすらと瞼を開けると、ベッドに横になっている福嶋くんの姿が目に飛び込んできた。



…そっか。



福嶋くんの看病しているうちにいつの間にか眠っちゃったんだ。



いま何時だろう…?



ベッド脇のサイドボードの上にあった無機質なデジタル時計を見ると“PM21:36”と表示されていた。



もう9時半過ぎてたんだ。



〜♪〜♪



せき立てるように電話が鳴っている。



「…ってか西崎さんだし」



あたしは慌てて携帯を持ち出して福嶋くんを起こさないように部屋の外に出た。



「もしもしっ」



『…村瀬? どうしたんだ、そんなに息せき切って』



「あ…えとっ…寝ちゃってて…たったいま起きたものでっ」



『寝起きがそんなに激しい運動なのか、村瀬は(笑)』



「…いえ、あの…福嶋くんを――」



起こさないように、と言いかけてはっと口をつぐんだ。



また福嶋くんと一緒にいることがバレてしまう。



しかもあたし『寝ちゃってて』って誤解を招きかねないこと言ったし/// 



一緒にいて一緒に寝ちゃっ……キャーキャー、どうしよう(*/ω\*)



『…福嶋大丈夫なのか?』



ひとりであたふたしていたあたしをよそに西崎さんは至って冷静に訊いてくる。



あれ…西崎さん、福嶋くんの具合が悪いこと知ってるの?