慧吾≫≫≫禁断の火遊び





「――ああ、うん。急ぎのときは携帯にかけるから。…分かった。お疲れ」



はぁ〜…



「…なんか珍しくやる気なくね?」



電話を切ってだらしなく椅子にもたれると、向かいの席の柏田が手を止めて訊いてきた。



村瀬のストーカー事件でうやむやになっていた葛城さんの件と、引っ越し祝い(あまり祝えない引っ越しだったけど)を兼ねて、今夜村瀬を食事にでも誘おうかと思ったんだけど…



福嶋が急に高熱を出してぶっ倒れたとかで、村瀬は病院に付き添っていったんだそうだ。



「おまえに続いて福嶋も風邪? 超健康優良児が揃いも揃って、こりゃ空から日本刀でも降ってくるな。OH〜フジヤ〜マ、ハラキ〜リ、スシゲイシャ♪」



なぜか宴会ばりに小躍りしだす柏田。



「……」



…こうなったら関わらないほうが身の為だな。





それにしても福嶋が高熱とか、ひょっとして俺のせいなのか?



病み上がりに張り込みしながら車中で3時間近くも話し込んでたもんな。



ただの風邪かと思っていたのに実はウィルス性の風邪で、それを知らずに車の中という密室で菌をばらまいていたのかも。



だとしたら福嶋に申し訳ないことしたな。



今度丁重に謝っておこう。