「ねぇどうして……こんなことするの?」



思えば謎だった。



恋人でも何でもない関係の人間にキスマークを付けるなんてただの意地悪にしては、そんなことをして何の得があるんだろうって感じだし。



眠っているあたしにどういう心境でそんなことをしたのかも気になる。



だって…福嶋くんは西崎さんのことでいつも相談に乗ってくれたじゃない?



応援してくれたじゃない?



西崎さんと優花さんのことだって『きっと何かの間違いだから』って否定してくれたじゃない?



なのに…どうしてこんなことをする必要があるの?



何の得があるの――?







見つめ合う時間がとても長かった。



だけど息が詰まるようなことは一切なく、むしろ心地いい時間。



ふいに福嶋くんの手がのびてきて髪に触れる。



指先でくるくると毛先を弄びながら梳くように髪を耳にかけ、そのまま後頭部を押さえつけたかと思うと、あたしの額に自分の額をコツンとぶつけた。



すこし潤んだ熱っぽい瞳に間近で見つめられ、不覚にも胸がドキドキしてしまう。



…ってあれ?



「福嶋くん……熱があるよ?」



「…ん………――――…寒ぃ……」



急にあたしの肩にもたれかかる福嶋くん。



呼吸が荒い。



体は熱を持っているのにがたがたと寒さに震えている。







「ちょっ…ねぇ大丈夫? 福嶋くんっ――…!?」












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