「よぉー久しぶりだな福嶋ーっ。元気してたかぁ?」



居酒屋《鳥淞》――大学時代によく通ってた店だ。



カチンとグラスをかち合わせて隣にどっしりと腰を下ろしたのは大学時代よくつるんでた広田。



最近は互いに忙しくて全然会えていなかった。



「…おまえちょっとメタボったんじゃね?」



前に会ったときはもうちょっと痩せてたと思うけど。



「分かるか? 幸せメタボってやつだ」



そう言って広田は服の上からでも分かるぶよぶよの腹を自慢げに叩く。



そういや結婚したんだったよな、大学卒業してすぐに。



子供も産まれて同じ23とは思えないほどすっかり所帯じみたオッサンになっちまって。



大学時代はその整った顔を武器にどんだけの女を取っ替え引っ替えしてきたことか。



今じゃ見る影もないな。



こんな変わり果てた姿になるのがはたして真の幸せなのか?



「…まぁ、おまえも守るべき者ができたとき、そのとき分かるんじゃね?」



「守るべき…者…」