呼び出し音を8回聞いた。しかし、麻帆は……出ない。


やっぱり部活中だったか?そう思いながら、受話器を下ろそうとした時だった。



「は、はいっ、もしもし!」


受話器から声が聞こえた。


「あっ、麻帆?」


緊張で言葉に詰まりながらも、麻帆の名前を呼んだ。


「うん、そうだよっ!……あ、荒ちゃんだよね?」


少し心配そうに聞く麻帆が愛しくなった。


「おぅ。久々だなっ」


緊張で、歯がガチガチ言うのを必死に堪えた。



俺の大好きな君、麻帆の声を今聞けている。


それが嬉しいんだ。