「ストラーイクッ!」 ピッチャーが投げる一球一球に神経がいく。 「ボールッ!」 審判のでけぇ声だけが胸をざわつかす。 頼みます……先輩抑えてください。 みんなで、この大好きなメンバーで甲子園行きましょう。 俺はまだまだしたっぱの後輩。 だけど、甲子園に行って試合をしたい気持ちは先輩達と同じなんだ。 そしてもう一度、目を見開いて試合を見たときだった。 カコーンッ。 一瞬だった。 俺の……俺たちの夢が、夏が終わったのは。 一瞬だった。 ボールがスタンドに入っていったのは。