「ストライク、3アウト!チェンジ!」
それから永松は予言通り、1点どころか、打たせることも許さなかった。
「荒嶋、ありがとうな」
「な、何が?」
ベンチに戻ったと同時に、永松から言われ、正直…鳥肌が立った。だって滅多に無いことが起こってるんだ。だけど永松は、
「いろいろとな」
とだけ残し、バットを持ってバッターボックスへ向かった。
なぁ…永松、お前の弱音聞けてよかったよ。胸にためないで、逃げ出したいって言ってくれて。
入部した頃は、永松の背中ばかり追いかけていていた。だけどいつの間にか隣にいた。
きっと、永松が歩調を合わせてくれたんだ。
俺を叱ってくれたのも、永松の優しさ。友情という強さと優しさ。
大切な大切な…仲間なんだ。かけがえのない、大事な奴なんだ。
「プレイボール!」
審判が声をあげて最終回が始まった。俺は永松の背中を見つめた。


