大好きな君にエールを






自分のグローブを見つめる。だけどやっぱり…グローブの中にはボールはなかった。


スクリーンに『4』と数字が表示され、相手に追加点が入ったことを思い知らされる。


4−1。この数字を見ただけで、大抵の人は…1点の花龍が負けると思うだろう。


だけど俺は思いたくない。可能性を信じるんだ。そんな俺と同じ思いをしていたのだろうか?永松が歩み寄ってきた。


「永松…」


「未熟だよな、俺。また1点取られた」


と力なく笑う永松。俺が掛ける言葉を探していると、


「だけど、もう打たれないから。絶対勝たせない」


初めてだと思う。こんな真っ直ぐな永松の目を見たのは。


「俺は、お前の球を受け続ける。バッターがへたばるまで、なっ」


バーカ、と笑い永松はマウンドへ向かった。




もう、時間がない。


甲子園で戦っていられるタイムリミットが迫っているんだ。