だけど結果は…バッターは三振。永松まで出番は回らなかった。
「最終回の1番目のバッター、緊張すんなよ?」
俺はバットを置き、代わりにグローブを持った永松に小さな茶々を入れた。
「バーカ。バッターよりもピッチャーの方が緊張する」
「永松…」
「でも、この回で終わりにしてやる。小さな可能性を信じてな」
俺は永松の頭をぐりぐりとして、緊張をほぐいてやった。永松、俺も信じてるよ。今は負けてるけど俺たちなら勝てるって信じてる。
「ストライク、三振!」
1人は空振り三振に倒れた。1つ…1つはアウトが減った。
あと2つ。あと2つアウトを奪えば、俺たちの逆転ステージが始まる。
パンパンッ
グローブを叩き、いつもよりもカッコつけて構えてみる。永松がふっと笑った。
永松、ウケてる暇があるなら、俺のキャッチャーミット…狙えよ。


