「い、一本っ!」
審判の係の先輩が旗を突き出した。
「勝者、倉橋!」
これは一本決めるまでのミニゲーム。だからここで栞先輩との勝負は終わり。
あたし達は向かい合って蹲踞をした。
「あ……あさぽん……すごいよ」
元の位置に戻ったあたしに、目を丸くして言った藍。
そういえば、あたしが前に先輩とやり合った時は、藍はまだ入部してなかったんだっけ?
「そ、そうかな。でも栞先輩強いね!」
「ううんっ!あさぽんも十分強いよ!中学でも剣道してたの?」
「う、うん……まぁ」
「す、すごっ!あたしも剣道してたけど、あさぽんには適わないよっ」


