大好きな君にエールを






「3アウト!チェンジ!」


バッターは右フライに倒れ、相手の攻撃が終わった。ベンチに入ってドカッと座った永松を見て、思わず吹き出してしまった。


「…んだよ」


「いや、珍しいから。俺より先にベンチに戻るなんて」


「ふーん」


そして8回裏の花龍の攻撃。1打者目は…レフトフライで倒れ、2打者目もゴロでランナーは出なかった。


「やっぱり点を入れるのは…無理なのかな…」


部員の誰かが呟いた。だけどキャプテンがそいつに言った。


「無理とか言うな。まだ可能性は十分にあるんだ。小さな可能性も無駄には出来ない」


永松が腰を上げて、ネクストサークルへ向かった。


永松だって信じてる。この回で自分に出番が回ってくるって。だから素振りをしてスタンバイしてるんだ。可能性を信じてるんだ。


俺だって信じてる。花龍は勝てるって。