大好きな君にエールを






大塚くんが必死になって訴えるけど、あたしには通じない。


「……それ以上言わないで?」


あたしは無理矢理笑顔を作った。


「考えれば考えるほど…良くないことが浮かんでくるから」


想っていても伝わらない。荒ちゃんを思い浮かべても…すぐに消えちゃう。


女のコと歩いてるの?それとも野球に没頭してるの?


あたしの目からポロポロ溢れてくる涙を拾うように、大塚くんは抱き締めてくれた。優しく、切なくそして強く。


だけどあたしはすぐさま突き放した。もう甘えない。荒ちゃん以外の人にすがりつかない、と。


「俺ならずっと麻帆さんの傍にいる。俺のこと、真剣に考えてみてください」


あたしの冷たい態度にも構わず、真っ直ぐな気持ちを伝えてくる大塚くんに胸が痛んだ。


「……あたしの気持ちは変わらないよ?」


「はい。それでも少しは期待したいんっすよ」


あたしはアスファルトに伸びる2つの影を見つめた。