でも、負けたくない。あたしだって…荒ちゃんに見せつけてやりたいんだ。今までの努力を無駄にしたくないんだ。
相手が一歩退いて、再び向かってきた。
─────…俺は大好きな君にエールを送ります。
一瞬、荒ちゃんの声が聞こえた気がした。同時に、あたしはがむしゃらに竹刀をさばいた。
「勝負あり!」
負けた…判定を耳にした時にそう思った。だってあたしは今…規定ラインより、外にいるんだから。それは、負けを意味するんだ。
「勝者…」
高校最後の大会。ここで終わっちゃ…
「キャー!!麻帆先輩やりましたねっ」
後輩の声が聞こえて顔を上げた。今…何て?あたしは審判を見た。
「勝者は君だよ」
表情を変えず、あたしを見る審判のおじさん。審判の手の旗はあたしを示していた。
…勝った?あたし達勝ったの?あたしの目には、涙を流しながらニッと笑う藍の姿が映った。


