「お疲れ、麻帆!」


部活を終えたあたしにひーちゃんは両手をぶんぶん振りながら呼んだ。


「んもー大会前だから仕方ないけど、毎日毎日疲部活れるぅっ」


ひーちゃんは転がっていた空き缶を蹴った。


「あたしもー。顧問に怒られっぱなし!!」


「わかるわかる!!…でももう3年じゃんねー。あたし達の部活動生活もそろそろ終わりかー」


何気ないひーちゃんの一言に胸が痛んだ。そうだよ、もう終わりなんだよね。


高校3年間、部活と隣り合わせで歩いてきた。だから竹刀はあたしの体の一部みたいなモノ。


だけど、もう少しで離れちゃうんだ。引退の時期だから。


「寂しくなるね…」


「…うん」


2人で見上げた空は夕焼けには無く、小さな星達が浮かんでいた。