「意外と呆気ない初戦だったな」
花龍の校歌を甲子園に響かせ、ベンチの片付けをしている時に、永松がポツリと呟いた。俺は慌てて永松の口を塞いだ。
「周りに聞こえたらどーすんだよバカっ」
「普通より小さめだし聞こえねぇよ」
「とにかくこの場で言うなっ」
永松は知らん顔して荷物をまとめはじめた。確かに俺も永松のいう通りのことを思っていた。
だけどやっぱり耳にしたくない。俺が相手のチームの一員だったとしても…言われたくない。
だから言わない。俺たちだっていつ呆気ない試合をするかわからないんだから。
「あ、でもな荒嶋」
永松が荷物を持ちながら言った。
「俺は相手を見下してるわけじゃない。ただ、花龍が強くなったことを言いたかっただけだ」
なんだ。永松もちゃんとわかってるじゃんかよ。


