それでもいいから…君に伝えたいんだ。伝えなきゃいけないんだ。
そして俺は、麻帆への気持ちを膨らませながら、夢の世界へ入り込んだ。
夢の中で麻帆が出てきた。俺は麻帆に近づこうと追いかけた。だけど麻帆は、背の高い黒い影の元に走っていく。
追いかける俺。麻帆は遠くなるばかり。
行くな…行くな麻帆。…俺んとこに戻って来いよ。
「あ…さほ…」
麻帆の名前を呟いた時に、誰かに肩を揺らされて目が覚めた。
「おい荒嶋、着いたぞ」
目の前で、大きなシルエットがゆらゆら動いている。声からして…永松だ。
「なぎゃまつ…」
「気持ち悪い声出すな。学校に着いたぞ」
俺は慌てて飛び起きた。周りを見渡すと、バスの中には俺たち以外誰もいなかった。
バスから降りると、キャプテンの頭にうっすらと怒りマークが…。俺は小さくなりながら輪の中へ向かった。


