「オーライオーラーイッ!!」


センターが片手をあげてボールの筋を読んだ。ナイスキャッチ!と俺は合図をした。


「はい、永松っ!」


センターから戻ってきたボールを永松へ手渡す。永松は帽子を取りながら歩いてきた。


「荒嶋、お前大丈夫か?」


「何がだよー。ほらボール…」


「カラ元気やめろよ」


バシッとボールを奪い、マウンドへ向かった凛とした背中。


ったくわざわざ言うなよ、永松。知ってるくせに…俺がどうしてカラ元気なのかわかってるくせに。


─────…


麻帆に距離を置こうと言った日、永松は電話ボックスの外にいた。イキナリ泣き崩れた俺を見て、ビビった顔をしていた。


「ど、どうしたんだよ、荒嶋」


「…永ま…つ…俺…」


「何だよ。何泣いてんだよお前。気持ち悪…」


「彼女に…言っちゃった。…距離置こうって…言っちまったよ」