「ふざけてない。本気なんだ」


荒ちゃんの落ち着いた声が耳に響く。


「…嫌っ。あたしは嫌だよ。だって距離を置くってことは、半分は荒ちゃんの彼女じゃなくなっちゃうってことで…別れを前提としてるみたいじゃないっ」


考えたくないよ、荒ちゃんと距離を置くなんて。


「あたしが今、大塚くんといるから?でも、あたしはただの後輩としか思ってないんだよ?」


「…ごめん」


「荒ちゃん…信じてくれないの?いつもみたいに…信じてくれないの?」


「信じたいよ。だけど…今は…」


ごめん、しかない…信じてくれない。今の荒ちゃんは…いつもの荒ちゃんじゃないと思い知らされた。


「ごめん麻帆。…じゃあ電話切るから」


「ま、待って…」


あたしはかすれた声呼び止めた。