嬉しいに決まってんじゃんっ。あたしはそう訴えた。だけど、
「そんな言い訳なんて聞きたくないから」
言い訳じゃないと言っても、
「じゃあ聞くけど、なんで男といんだよ。しっかり断れば一緒になんて帰んねーだろ?」
こう返ってきた。確かに荒ちゃんの言う通りかもしれない。だけどあたしなりに断ったんだ。
「でも、そいつと何も起きないとは言い切れないだろ?」
「…荒ちゃんどうしたの?いつもの荒ちゃんじゃないよっ」
どうしたの?いつもの荒ちゃんの声じゃなくて調子狂うよ。
冷たくて、なんだか…怖い。
「ねぇ、荒ちゃ…っ」
「麻帆、ごめん」
荒ちゃんの名前を呼んでもなぜか謝られ、切なくなった。
「麻帆…ちょっと距離、置こう」
まさかこの言葉が出てくるなんて思ってもいなかった。あたしは震える唇を噛み締めながら言った。
「な…に言ってんの、荒ちゃん。ふざけないで…」


