少しトーンが低くなった荒ちゃんにあたしは慌てて答えた。
「あっ、今の聞こえてた!?ごめんね。大塚くんっていうの。男子剣道部の1年生なんだっ」
「…仲、良いの?」
「そんなに良くないよ。同じ剣道部ってことだけかな」
ただ部活が同じだけ。どんなにアタックされても、あたしにとっては後輩なんだよ。
「今、麻帆帰り道だよな?」
「うん?そーだよ」
「それでそいつと帰ってんの?2人で帰ってんのか?」
「え?あ、うん。何回も断ったんだけど送るって言われて…」
さっきよりも鋭く問い詰める荒ちゃんに答えていると…
「何話してるんですかー?もしかして俺のこと?」
再び大塚くんの声。あたしは『邪魔しないで』と横目で大塚くんを見た。


