ぽろっと出た本音だった。その本音に
「んなこと言っても、俺は麻帆に会えないぞ」
冗談混じりで返す荒ちゃん。あたしは『わかってるぅー』としか言えなかった。
荒ちゃんに傍にいてほしい。そんな小さな小さな願いさえも叶わないんだ。
少しだけ視界が滲んでる…そう思った時、
「ねー麻帆さん、誰と話してるんスか?」
大塚くんが口を挟んだ。あたしは慌てて涙を拭き、
「う、うるさい。大塚くんには関係ないじゃんっ」
と反発したと同時に…嫌な予感がした。
あたしは今、荒ちゃんじゃない人と2人きり。しかも今の大塚くんの声…荒ちゃんに聞こえてた、よね?
「麻帆、あのさ誰?」
「…えっ?」
少しの沈黙の後、荒ちゃんが口を開いた。
「そこにいる奴、誰?」


