「…別に、もういいよっ。でも、あまりベタベタしないでね?」
大塚くんは一瞬だけ悲しそうな顔をして、ぱっと明るくなった。よかった。やっぱり笑顔が似合うね大塚くん。そう思っていた時だった。
♪〜♪〜♪
ケータイの着信が鳴った。あたしは大塚くんに『ちょっとごめん』と言い、ディスプレイを見て慌てて電話に出た。
「もっもしもし、荒ちゃん!?」
「よっ、…冬ぶりだな!」
電話の相手は、さっきから恋しく想っていた大好きな荒ちゃんだった。
「そうだねっ。こんな時間に電話なんて、今部活終わったの?」
緊張して上手く話せない。ガチガチだよ、あたし。
「あぁ。なーんか麻帆の声が聞きたくなったから」
以心伝心…ってやつかな?あたしも荒ちゃんの声、聞きたかったんだよ。
「あたしは…毎日荒ちゃんの声が聞きたいよ」


