大好きな君にエールを






やっぱり断ろう。そう思ったが、


「帰りますよ、麻帆さんっ」


と大塚くんに強制的に手を引かれて帰ることになった。ちょ…待ってよー。


─────…


「麻帆さんの家ってこの方向なんですねっ」


あたしの隣ではしゃぐ大塚くん。あたしは『そーだよ』と小さく呟いた。


街灯に照らされる2つの影。その影はあたしの影と、荒ちゃんじゃない大塚くんの影。


いつも、あたしの隣にいる男のコは荒ちゃんだけなのに、今日は違う。荒ちゃん…この影を見ると無性に荒ちゃんに会いたくなるよ。


「麻帆さーん?そんなに俺と帰るの嫌ですか?」


「あ、いや…そうじゃないけど」


「泣きそうな顔してますよ?やっぱり強制的に帰ったのはいけませんでした…よね」


今さらながら謝る大塚くん。あたしはそんな大塚くんを突き放すことは出来なかった。