あたしはケータイを確認して、鞄を持ち、外に出た。すると誰かがあたしの前を通せんぼした。
「麻帆さん、部活お疲れ様です」
「お、お疲れ様。あの大塚くん。あたし今から帰るんだ。だからそこを通してほしいな…」
「夜道を1人は危ないですよ!…てか、今日は光留さんはいないんっスね?」
大塚くんがキョロキョロとひーちゃんの姿を探す。ひーちゃんは用事があって先に帰る、とさっきメールが来ていた。
「じゃあ、俺が麻帆さんを送ります!」
「い、いいよっ。あたし1人で帰れるからっ」
「ダメです。送ります!」
「いい。1人で…」
「俺が心配なんです。もし麻帆さんに何かあったら…彼氏さんも心配すると思いますよ」
荒ちゃんの不安そうな顔が浮かんだ。だけど…荒ちゃんはあたしと大塚くんが帰ることの方が、よっぽど不安になるんじゃ?


