「ねぇ、荒ちゃ…っ」


「麻帆、ごめん」


気づいたら謝っていた。気づいたら思ってもいないことを口走っていた。





「麻帆…ちょっと距離、置こう」





イキナリ出てきた自分の言葉にびっくりしてしまった。この言葉の意味くらい…わかる。


「な…に言ってんの、荒ちゃん。ふざけないで…」


「ふざけてない。本気なんだ」


さっきは咄嗟に言ってしまったけど、よくよく考えてみると…今の俺たちは、距離を置いた方がいいのかもしれない。


「…嫌っ。あたしは嫌だよっ」


「麻…」


「だって距離を置くってことは、半分は荒ちゃんの彼女じゃなくなっちゃうってことで…別れを前提としてるみたいじゃないっ」


俺も思っていた。距離を置くことは別れが近くにあるということ。