あたしは鼻をチーンとした。


頑張ったよ、荒ちゃんは。だから今日はゆっくり休んでね。


────…


あの感動の試合から1ヶ月立ち、2学期が始まった。荒ちゃんは約束通り…帰って来なかった。


負けたから帰ってくるのかなって期待したけど、荒ちゃんは練習をするために帰らなかったんだと思う。まだまだ強くなるためにね。


2学期が始まっても、あたしの生活には変わらなかった。ただ1つだけかわったことがある。それは


「キャプテン!麻帆キャプテーン!」


あたしは剣道部の主将になった。決まった当初は、不安がいっぱいで、戸惑いを隠せなかった。だけど、


「あさぽんなら大丈夫!」


副キャプテンの藍に励まされ、少しだけ自信を持てた気がした。


もちろん、キャプテンになって良いことはあまり、ない。監督には呼び出されては叱られ、部内の問題も増えていくばかり。


よく、前キャプテンはまとめていたなと感心した。