「おねいちゃぁーん、ティッシュもう1枚ー」


電話を切ったあたしは、お姉ちゃんにティッシュを要求していた。


「あんたこれで何枚目ー?」


お姉ちゃんは呆れながらティッシュを渡した。


涙が止まらない。


荒ちゃんの甲子園での姿、本当に苦しそうだった。だけど、永松くんのホームランに続き、荒ちゃんまでホームランをかっ飛ばした。


あの時ね、まるで白球をあたしに届けてくれてるみたいだったよ。だって家の窓から甲子園の空気が漂った気がしたから。


嬉しくて嬉しくて泣きながら跳び跳ねた。それに9回表の荒ちゃんねアウトを取った姿。超カッコよかった。


ミスも何回かあったけど、決して無駄じゃなかったはずだよね。そして荒ちゃんからの電話が、あたしの涙腺を壊した。


「勝てなかった…ごめん」


勝たなくてもいいよ。本当の本当は勝ってほしかったけど、あたしは十分だよ。


荒ちゃんの頑張りが、荒ちゃんの勇姿が全国のテレビに流れたんだから。