大好きな君にエールを






俺はシゲさんのポジションを奪ってしまったんだ、って思ってしまう。


「でも、荒ちゃんは悪くないじゃん?」


「悪いよ。シゲさんの容態に気づかなかったんだから。もっと早く気づいていたら、シゲさんは甲子園に出れたかもしれないのに…」


「でも、甲子園よりも予選を選んだのはシゲさんなんだよ。昨年の屈辱を果たすためにさ」


いつの間にか、俺の右手には麻帆の左手が繋がれていた。久しぶりの感触だった。


「だから荒ちゃん、そんなに考え込まないで。シゲさんのこともあたしのことも。あんまり無理しちゃうと、荒ちゃんが壊れちゃうよ…」


「麻帆…」


「今、花龍のキャッチャーは荒ちゃんなんだよっ。永松くんのバッテリーは荒ちゃんなんだからね?自信持ってよ!!」


麻帆、なんで麻帆の言葉はこんなにも背中を押してくれるんだろうな。