「永松、あの時はごめんな」
永松とバッテリーを組むことが決まった次の日、俺は病院で永松に八つ当たりしたことを謝った。
「彼女には謝ったか?」
「いや…まだ」
「早く謝らねーと後悔するぞ、バカ。それに、俺に謝る暇があるなら俺の球だけを感じろよ」
それが永松の優しさだった。俺は大きく頷いて、永松の球を見つめた。
それから、俺はシゲさんのお見舞いには毎日通った。キャッチャーになったことを報告すると、
『頑張れよっ、康也!』
と笑顔で返された。その笑顔を見て、シゲさんの状況を知っている俺は素直に喜べなかった。
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麻帆は黙って聞いてくれた。小さく頷きながら。
「キャッチャーの練習は楽しいんだ。だけど、シゲさんの笑顔を見ると…正直辛い」


