本当に離れたくない。


泣き虫な沙月とも、あたしをドキドキさせる……あいつとも。


「お2人さーん。まだ式始まってないけど泣きすぎじゃね?」


愛しいあいつの声がした。あたしの胸は一瞬できゅんとなる。



「荒ちゃんっ」



彼の名前は荒嶋康也(アラシマコウヤ)。短髪がとても似合って、クラスでもお日さまのように明るい存在の荒ちゃん。


そして、あたしの彼氏。


荒ちゃんって呼ぶのは、彼女としての特別な呼び方が欲しかったから。


荒ちゃんは名前がいいって言ったけど、名字で呼んでいたあたしには、まだ゙康也゙って呼ぶ勇気がないんだ。