え…?あたし?あたしは荒ちゃんの顔を二度見してしまった。
「何、変な顔してんの?」
「い、や。別に。ただ、びっくりしちゃっただけ」
ふっと笑った荒ちゃんだけど、どこか寂しそうだった。
「まぁ麻帆が出てきて、それで…麻帆に電話したんだ。でも、八つ当たりする気は全然なかった。
ただ…俺の気持ちに共感してほしかったんだと思う」
荒ちゃんの肩が、微かに震えている。
「…荒ちゃん?」
「ごめ…俺…何し…」
そして、荒ちゃんの言葉が途切れ途切れになった。
「荒ちゃ…」
「み、見るな。俺の顔…見ん…じゃねーよ」
一生懸命に自分の顔を隠そうとする荒ちゃんだけど、あたしは気づいてるよ?
あたしはそっと、子供みたいに震える荒ちゃんを抱き締めた。


