大好きな君にエールを






きっと今、荒ちゃんはキャッチャーの特訓をしているだろう。永松くんとバッテリーの練習に励んでいるんだろう。


だからあたしに連絡する暇もないし、あたしのことを考える暇もないはずだね。


だからね…前、実行出来なかった『会いに行く作戦』を実行しようかなと思った。


荒ちゃんが甲子園に行く前に、荒ちゃんに会いに行って…話をしよう。


「気持ちの整理はついた?」


「はいっ。あたし頑張ります!!」


「よーし。じゃ、今からあたしの目的地に行こっか。…って言っても実は、ここなんでーす!」


あたしは実貴さんが見上げた建物を同じように見上げた。


「ここ…ですか?ここって…」


「ふふ。見ての通りの場所よっ」


あたしが今、目の前にしている建物は、全くと言っていいほど予想をしていなかった場所だった。