大好きな君にエールを






イキナリ号泣しだした実貴さん。あたしはあたふたするばかり。


「え、遠距離だなんて…切なすぎぃー」


「み、実貴さん?」


「うわぁーん…」


一旦はおさまったものの、それからバスから降りるまで、実貴さんはめそめそ泣いていた。遠距離が切ないという理由で。


────…


「…大丈夫ですか、実貴さん?」


バスから降り、あたしは心配しながら実貴さんを見た。もう自分の恋バナを話している場合じゃないと確信した。


「な、なんとか。…よしっ!もう大丈夫だよっ」


実貴さんはバチンっと両頬を叩きパワーを温存した。あたしがホッとして胸を撫で下ろすと、


「麻帆ちゃん、遠距離で謝るチャンスがないと思う。だけどね、まずは自分が行動しなくちゃ何も変わらないよ?」


もうめそめそ実貴さんじゃなかった。あたしは小さく『はい』と返事をした。