「本当に気にしないでね。気にしちゃうと思うけど」
すまなそうに言う実貴さんに胸が痛んだ。
「こんな暗い話より、麻帆ちゃんの恋はどうなのっ?」
「あたし…ですか?」
「うん。彼氏とかいるの?」
「…はい」
「キャー!!だから麻帆ちゃんキラキラしてるんだねっ」
実貴さんの奇声にバスの乗客があたし達を睨んだ。実貴さんは肩をすぼめながら『すみません』と呟いた。
「大袈裟ですよ、実貴さん」
「だって本当だもん。麻帆ちゃんすっごく輝いてるよ!!やっぱり恋すると綺麗になるんだね」
うんうん頷く実貴さん。そんな実貴さんを見て、
「でも…今、喧嘩中なんです」
口が勝手に動いていた。なぜだろう。わからないけど、実貴さんに話していたんだ。


