大好きな君にエールを






確かに夏休みは進路に悩む3年生にとっては大事な時期。


今、栞先輩は部活に来てないし、その時期になったんだと感じた。


「実貴さんは?実貴さんも今、進路で忙しいんじゃ…」


「んーまぁね。でも、たまには息抜きが必要じゃん?ねっ」


ガタンゴトン…電車が揺れる。同時にあたしの心も揺れる。


何だろう…喧嘩中なのに、荒ちゃんに会いたい。恋をしてる実貴さんの表情を見ると、無性に恋しくなった。


だけど、もし荒ちゃんに会ったとしてどうするの?あたし、なんて声をかけるつもり?自分に問いかけても答えらしい答えは出ない。


「あの、すみません」


自分と奮闘していると、老夫婦から声をかけられた。


「次の駅で降りたくて…でも上手く腕が上がらなくて。すみませんが…ボタンを押してくれませんかね?」