大好きな君にエールを






それからあたし達は逆戻り。実貴さんによると、発車時刻に間に合うかわからないとか。


「急ぐぞー麻帆ちゃんっ」


小走りな実貴さんが可愛らしい。本当に急いでるのかわからないけど、一生懸命なのは確かだ。


そんな実貴さんを見ながら走っていた時だった。実貴さんの前には電柱が。しかし実貴さんは気づいていない。


「あ、危ない、実貴さんっ」


あたしが咄嗟に叫ぶと実貴さんはハッとした。


「えっ?…あ、電柱があったね。あはは…」


さっきまでの実貴さんとは違う態度を見せながら苦笑した。


「気づかなかったんですか?」


「うーん。電車しか考えてなかったからかなっ?…さ、行こっ」


新たな疑問が増えながらも、あたし達は走り出した。